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  • 往診論:「大きな救急」と「小さな救急」
    Mar 8 2026

    救急には「大きな救急」と「小さな救急」という軸があると思っています。

    まず、救急医療の体制には一般的に初期、二次、三次といった段階があり、初期は軽症、二次は入院や手術を要する患者を主に扱います

    また、内科救急、整形外科救急、小児救急など専門領域による分類もあります。

    しかし、私が強調したいのは、こうした分類とは別に「大きな救急」と「小さな救急」という視点です。これは重症・軽症で分けるするという発想ではありません。

    「大きな救急」の典型は、交通事故による多発外傷など、頭部・胸部を含む複数部位に重篤な損傷が疑われるケースです。この場合は一刻も早く最も高度な医療を提供できる施設へ搬送し、必要な検査・処置を総動員して治療することが明白に正しいと考えられます。

    内科領域でも、大動脈解離などが疑われるときは迅速に手術可能な施設へ移送し、早期に本格治療へ移行することが求められます。私はこうしたケースを「大きな救急」と捉えています。

    一方の「小さな救急」は、必ずしも最大限の医療資源を投入することが最適解ではない状況を指しています。患者の生活の場に近い場所、すなわち自宅や近隣で第一歩の介入を行い、患者のこれまでの生活の延長線上で対応することがベストとなり得る救急です。

    ここでいう「小ささ」は病状の軽重ではなく、救急対応の展開をできるだけ最小限に抑え、患者の希望や生活を優先するという方針の「小ささ」です。

    大きな救急と小さな救急の違いについて、私の経験した2つの脳梗塞に関連する事例を紹介します。

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    10 m
  • 往診屋の読書 「お金のむこうに人がいる。」
    Mar 1 2026

    田内さんは、お金を社会の潤滑油として捉えています。誰かが誰かのために働くことを媒介し、人が幸せになるために機能するものとしてお金を見るべきだ、と徹底して主張しているのです。「お金のために」「お金さえあれば」という発想から離れ、社会や人のつながりの中でお金の役割を理解し直すことが重要だと、繰り返し強く訴えています。

    この著作、一見関係なく思えますが在宅医療に携わる人にお薦めです。


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    13 m
  • 往診論 「小さな救急」を考え始めた原体験
    Feb 22 2026

    今年に入ってから「小さな救急」をテーマにさまざまなことを考えています。今回は、私がなぜこの「小さな救急」を考えるようになったのか、その原体験についてお話しします。

    ある夜、「心肺停止です」という搬入要請があり、救命センター中央のスペースに患者が収容された。搬入後すぐに心肺蘇生が開始され、点滴ルートの確保、心臓マッサージ、気管挿管による人工呼吸が淡々と進む。何度目かの強心薬の投与の後、患者の心拍が戻った瞬間、現場にいたスタッフの間に小さなどよめきが広がった。

    その時、私は初めてカーテンの向こう側に意識が向いた。そこでは、三歳くらいの子どもが泣いていた。喘息発作を起こし、吸入では十分な効果が得られず、点滴治療が必要と判断されていた。小児科医が懸命にルートを探し、看護師が動かないように子どもの体を固定する。まさに、心肺停止に対する蘇生が行われているすぐ横で、カーテン一枚を隔て、小児の点滴が進められていた。声も気配もそのまま届く距離で、まったく異なる緊急性と配慮が必要な医療が同時に進行していた。

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    11 m
  • 往診屋日記 15の物語 第9話 発熱と腹痛、救急車を呼べばいい?
    Feb 15 2026

    発熱と腹痛を主訴とする患者さんから、初めて往診の依頼がありました。患者さんは普段通院している医療機関に連絡したものの、そちらでは発熱外来の受診を案内され、決められた時間まで待機するよう求められました。

    しかし、この患者さんはそのような待機が可能な状態ではありませんでした。かかりつけ医療機関では往診の体制がなく、来院以外の受け皿がないという現実がありました。さらに、患者さんの居住地は地域中核医療機関から約15キロ離れており、電話で相談したところ、「近くの病院で相談してください」と案内されましたが、実際には近隣で受け入れ可能な選択肢が限られていました。

    このような経緯を経て、私に往診の依頼が届きました。ここで多くの方が思い浮かべるのは、「救急車を呼べばよいのではないか」という問いでしょう。

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    9 m
  • 往診屋の医学書探訪 「胸水無双」
    Feb 8 2026

    本日取り上げたいテーマは、医学書『胸水無双』です。下田真史著、2025年に金芳社から出版されています。この本は、その名の通り胸水について専門的に、そして深く掘り下げて書かれたマニアックな一冊ですが、読んでみて参考になる情報が満載でした。

    最近、胸水が貯留した患者さんの診断がうまく行かなかった症例を経験し、この本を読んだところ、実践に役立つ知識が多く記されていることを認識しました。

    本書では、冒頭に胸水の分析の話が書いてあります。つまり、胸水診断において最も重要な点として、まず胸水を採取し、その成分を分析することが強調されています。胸水が「何者」であるかを特定しなければ、適切な治療方針は定まりません。したがって、胸水を調べて診断を確定させることが、治療への第一歩であり、最も肝心な部分であるいうところから本書は始まっています。

    しかし、在宅医療、特に往診、訪問診療や訪問看護の現場では、病院とは異なる特有の課題が存在します。

    一つ目は、胸水がそもそも存在するのか、そして存在するとしてどの程度の量なのかを見極めることです。胸水の存在が既に分かっている場合もありますが、初めて胸水が貯留してきたような場合、その存在を知り、その量を正確に評価することは、在宅の環境では病院の外来や入院の環境ほど容易ではありません。

    二つ目は、本書で詳述されている胸水の穿刺・検査を在宅で行うべきか否かという判断です。在宅で胸水を採取し検査に出すという行為は、病院で行う場合とは異なり、大きな決断を伴います。

    今回は、この在宅医療における2つの大きな課題について、『胸水無双』から得られる参考になるポイントをお話ししたいと思います。

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    11 m
  • 往診屋のケースファイル:往診で胸水貯留を見つけたら
    Jan 31 2026

    このPodcastでは、往診の際に正しく診断できなかったケース、危うく間違うところだったケースを取り上げて、往診の実践上の留意点を考えていきます。

    本編では、往診の現場で胸水を評価する際の落とし穴と、心不全と胸膜炎の鑑別に関する実例から得た教訓について述べます。久しぶりに経験した「診断を誤った症例」を振り返り、どのように考え、どこに改善の余地があったのかを整理しました。往診でエコーを活用して胸水を確認する意義と限界、紹介先の選定、在宅での胸腔穿刺の適否についても考察します。

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    14 m
  • 往診屋日記 15の物語 第9話 発熱と腹痛の患者への往診:感染対応の続き
    Jan 25 2026

    訪問診療している患者さんが「疥癬(かいせん)」を患った事例を経験しました。

    情報共有の重要さを痛感しました。

    一方で、人間は正しい情報だけで動くのではなく、感情によって動くのだと言うことも考えさせられた事例でした。

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    12 m
  • 往診屋日記 15の物語 第9話 発熱と腹痛の患者への往診:感染対応
    Jan 18 2026

    発熱と腹痛を訴える患者さんで、私自身にとっては、初めて診察する患者さんから往診依頼があった時の話を続けます。往診の現場は、特にCOVID-19については感染しやすい環境であると考えています。
    情報があるときには適切な防護策を講じることで感染を防げる一方、事前情報がないケースでは、密室・換気不良・長時間接触といった条件での診察になり、感染リスクが高まります。

    そして発熱等の典型的な症状がまだ出ていない時期での診療のこともあるので注意が必要です。

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    9 m