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  • #8 ヴェネチア・フラーリ聖堂。入り組んだ迷路の先に現れる「レンガの大聖堂」と、美術史を変えたティツィアーノの革命
    Dec 4 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第8回の旅先は、ヴェネチアのサン・ポーロ地区にある「サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂」、通称フラーリ聖堂です。

    入り組んだ路地を抜けた先に、突如として現れる巨大で飾り気のないレンガ造りの教会。 その質素な外観とは裏腹に、一歩中に入ると、そこはヴェネチア派絵画の最高傑作が競演する美の殿堂でした。

    特に必見なのは、巨匠ティツィアーノが放った2つの革命的な傑作。 当時の常識を覆した「動き」のある祭壇画と、マリア様を中心からずらした「構図」の衝撃とは?

    今回は、実際に現地を訪れて圧倒された、建築のスケール感と至高のアート体験について語ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・レンガの大聖堂:「清貧」を誓った修道会が建てた、圧倒的スケールのゴシック建築。

    ・ティツィアーノ『聖母被昇天』:なぜこの絵は「革命」だったのか? 拒否されかけた名画の裏話。

    ・ティツィアーノ『ペーザロ家の聖母』:マリア様が端っこに? アシンメトリー構図の発明と、スポンサーの肖像。

    ・謎のピラミッド:中にあるのは「心臓」だけ? 彫刻家カノーヴァの奇妙な記念碑。

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    12 m
  • #7 ヴェネチア・サン・ザッカリーア教会。ベッリーニ絵画の空間美と、政治が絡んだ教会の裏側
    Dec 3 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第7回の旅先は、ヴェネチアの隠れた名所「サン・ザッカリーア教会」です。

    サン・マルコ広場から徒歩5分。 静寂に包まれたこの教会は、表向きは神聖な場所ですが、歴史を紐解くと、当時の貴族社会や政治と密接に関わっていた場所でもあります。

    見どころは、美術史に残るベッリーニの傑作「聖会話」。 現実の建築とリンクし、壁に穴が空いたかのような錯覚を起こすこの絵の前で、しばし時間を忘れました。

    今回は、実際に訪れて感じた美しさと、そこに見え隠れするヴェネチアの現実について、等身大の視点で語ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・ファサードの謎:下と上でデザインが違う? 建築家が亡くなって起きた「路線変更」。

    ・ベッリーニ『聖会話』:壁が消える? 現実の空間とリンクする錯覚の絵画。

    ・修道院の歴史:ここは祈りの場か、貴族の社交場か。8人の総督が関わった事件。

    ・幻の地下聖堂:幻想的であり、深刻な現実でもある「水没した地下」の話。

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    13 m
  • #6 ヴェネチアの先端、プンタ・デ・ラ・ドガーナ。17世紀のレンガと安藤忠雄のコンクリートが美しく同居する美しい建築
    Dec 2 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第6回の旅先は、ヴェネチアの海の税関をリノベーションした美術館「プンタ・デ・ラ・ドガーナ」です。

    サン・マルコ広場の喧騒を離れ、島の先端に位置するこの場所。 そこで待っていたのは、「古い記憶」と「新しい感性」が響き合う、奇跡のような建築体験でした。

    数百年前のレンガ造りの倉庫の中に、安藤忠雄氏が挿入した美しいコンクリートの壁。 その静寂な空間の中で、現代アーティスト、トーマス・シュッテの作品たちが異様な存在感を放っていました。

    今回は、実際に現地を歩いて鳥肌が立った「空間の魔力」と、偶然の出会いがくれた感動について語ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・BOX in BOX:古いレンガの中に新しいコンクリート。歴史を守りながら再生させる建築手法。

    ・Mann im Wind:静寂の空間に立ち尽くす3体。粘土をこねたような質感を持つ巨人のリアリティ。

    ・Criminali & Fratelli:悪人と兄弟? 同じ部屋で織りなす不思議な空気感。

    ・半月窓の絶景:階段を登った先で出会う、計算され尽くした「絵画のような景色」。

    ・先端の景色:鑑賞後に浴びる、ヴェネチアの海風とパノラマビュー。

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    12 m
  • #5 ヴェネチア・ペギー・グッゲンハイム美術館。「未完の宮殿」と、戦火の爆買い戦略
    Dec 1 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第5回の旅先は、ヴェネチアの大運河沿いにある「ペギー・グッゲンハイム・コレクション」です。

    ルネサンスの古都ヴェネチアにおいて、なぜこの周辺だけ現代アートのギャラリーがひしめき合っているのか? その震源地には、戦時中にアートを守り抜いた一人の女性の「豪邸」がありました。

    ナチスが迫るパリで「1日1枚絵を買う」という伝説的な爆買いを行い、ルーヴルさえ拒否した作品を保護したペギー・グッゲンハイム。

    今回は、彼女が愛した「未完の宮殿」を歩きながら、4人の巨匠の傑作と、彼女のドラマチックな人生を紐解きます。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・ペギーの戦略:ナチスから「退廃芸術」を守り抜いた、命がけのコレクション。

    ・パブロ・ピカソ:入口すぐの「ビーチにて」と、常識を壊した「詩人」。

    ・ルネ・マグリット:「昼の空」と「夜の街」が同居する、静かな衝撃作。

    ・ジャクソン・ポロック:作品の前で行われていた、地元学生たちの熱心な授業風景。

    ・未完の宮殿:美術館というより「友人宅」。生活の気配が残る空間の魅力。

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    13 m
  • #4 ヴェネチア・アカデミア美術館。「光」と「色」の発明、そして炎上した巨大絵画
    Nov 30 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第4回の旅先は、水の都・ヴェネチアにある「アカデミア美術館」です。

    ヴェネチアといえばゴンドラや運河が有名ですが、実は美術史における「色彩の革命」が起きた場所でもあります。

    フィレンツェの「線」に対して、ヴェネチアは「色」。 なぜ彼らの絵は、あんなにも光り輝いて見えるのか?

    今回は、実際に現地で圧倒された体験をもとに、ヴェネチア派の巨匠たちが仕掛けた4つの作品を語ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・ベッリーニ:「油絵具」の導入で実現した、発光するような金色。

    ・ジョルジョーネ:美術史上最大の謎? 主題よりも「ムード」を描いた革新作。

    ・ヴェロネーゼ:宗教裁判で大炎上! 巨大絵画を守った「タイトル変更」の機転。

    ・ティツィアーノ:本物のドアが絵の一部に? 場所を活かした空間演出。

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    10 m
  • #3 ローマ・コロッセオ完全攻略。現代にも通ずる高度な「UXデザイン」と、「パンとサーカス」の意味
    Nov 29 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第3回の旅先は、イタリア・ローマのシンボル「コロッセオ」です。


    街中にいきなり現れる、2000年前の巨大な遺跡。 ただ「大きいな」と見上げるだけではもったいない。 実はここは、現代のドーム球場やイベント運営にも通じるローマ人の合理的な戦略が詰まった場所でした。


    今回は、実際に現地を歩いて感じたことと共に、この巨大建築を4つの視点で解剖します。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・建築デザイン:柱の形に隠された意味と、船乗りが操作した「巨大な屋根」。

    ・UXデザイン:5万人を数十分で退場させた「ヴォミトリウム」というシステム。

    ・舞台装置:アリーナの地下に隠された、猛獣を出現させる「人力エレベーター」。

    ・政治戦略:「パンとサーカス」という言葉が意味する、残酷なショーの意図。

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    11 m
  • #2 フィレンツェのドゥオーモはなぜ崩れない? 463段を登ってわかった「魚の骨」と「見えない鎖」の秘密
    Nov 28 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。第2回の旅先は、フィレンツェのシンボル「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)」です。

    あの巨大な赤い屋根、実は当時は「建設不可能」と言われていたのをご存知ですか?

    600年前、木の足場もクレーン車もない時代に、どうやってあんな高い場所に巨大なドームを作れたのか。物理的に「無理だ」と言われた難題を解決したのは、意外かつ合理的なアイデアでした。

    今回は、霧の早朝から463段の階段を登りきった僕の体験談と共に、美しい大聖堂の裏側に隠された「偉人たちの工夫」を解説していきます。

    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    • ジョットの鐘楼:塔を高く見せるために画家が仕掛けた「目の錯覚」とは?

    • クーポラの謎:なぜ崩れない? 600年前に発明された「魚の骨」構造。

    • 地下遺跡:天才建築家のお墓が、まさかの「お土産屋さん」の横にあった!

    • 付属美術館:ドームを支える「見えない24本の骨」の秘密

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    14 m
  • #1 ウフィツィ美術館は実は「オフィス」だった? ヴィーナスの「美」とメドゥーサの「恐怖」、名画に隠された画家の人生
    Nov 27 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。第1回の旅先は、イタリア・フィレンツェにある「ウフィツィ美術館」です。

    世界中から観光客が集まるこの美の殿堂、実はもともとメディチ家の「オフィス(Uffizi)」だったことをご存知でしょうか?

    先日、実際に現地の夕暮れ時の回廊を歩いてきました。窓から見える夕日に照らされたドゥオーモ、そして数々の名画たち。そこで感じたのは、単なる美術史の知識ではなく、そこに生きていた画家たちの人生でした。

    今回は、広大な美術館の中から、歴史の転換点となる4つの作品に絞って、その魅力を語ります。

    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    • 夕暮れのウフィツィ:オレンジ色に染まる回廊と、窓から見える景色。

    • ジョット『オニサンティの聖母』:中世の常識を覆し、神様がリアルに近づいた瞬間。

    • ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』:解剖学よりも優先された理想の美と、晩年の憂鬱。

    • ポントルモ『コジモ・デ・メディチの肖像』:フィレンツェの父の質素な横顔と、パトロンの重要性。

    • カラヴァッジョ『メドゥーサ』:逃亡し続けた画家が本物の盾に描いた心の叫び。

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    17 m