Ep.1005 ヤン・ルカン氏がMetaを離れ新会社「AMI」を設立──トヨタやNVIDIAも熱視線を送る“世界モデル”とは(2026年3月12日配信)
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2026年3月9日、人工知能研究の第一人者であるヤン・ルカン氏が新たに立ち上げたフランスのAIスタートアップ「AMI(Advanced Machine Intelligence)」が、約1630億円(8億9000万ユーロ)という桁違いの資金調達を実施したことが明らかになりました。創業直後のシードラウンドとしてはヨーロッパ史上最大規模であり、企業価値は早くも約5500億円(30億ユーロ)と評価されています。出資者には、トヨタ自動車のベンチャーキャピタルをはじめ、AI半導体の王者NVIDIA、韓国サムスン電子、そしてAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏のファンドなど、世界のトップ企業がこぞって名を連ねています。
今回、海外のテクノロジーメディアなどを通じて周辺の動向を深掘りしてみたところ、この巨額投資の裏には、現在のAIブームに対するルカン氏の強い危機感があることがわかりました。ルカン氏は2025年まで10年以上にわたり米MetaのAI研究トップを務めてきましたが、「現在の主流である大規模言語モデル(LLM)は単なる知識の暗記に過ぎず、人間レベルの知性には到達できない」と以前から警鐘を鳴らしていました。しかし、Metaを含む米国の巨大テック企業が横並びでLLMの開発に巨額の資金をつぎ込む「群集効果」に陥ってしまったため、彼は自らの理想を追求すべく独立を選んだのです。彼は海外メディアのインタビューで、「LLMはすでに製品であり、もはや学術的な研究対象ではない」とまで言い切っています。
そんな彼がLLMの限界を突破する「次の一手」として提唱しているのが、「世界モデル」という新しいAIの形です。これはテキストの言葉だけでなく、動画やセンサーを通じて「重力で物が落ちる」「ぶつかると壊れる」といった現実の物理法則をAIに深く学ばせる技術です。世界モデルが完成すれば、AIは自らの行動がもたらす結果を予測し、長期的な計画を立てられるようになります。これにより、これまでは画面の中でテキストを返すだけだったAIが、工場の複雑な機械を制御したり、未知の環境でロボットを安全に動かしたりする「フィジカルAI」へと一気に進化します。今回、ハードウェアに強みを持つトヨタやサムスンが巨額の出資を行ったのも、製造業やロボット産業への応用に計り知れないビジネスチャンスを見出しているからに他なりません。
さらに見逃せないのが、新会社の拠点戦略です。AMIはあえてシリコンバレーを避け、パリに本社を構えながらシンガポールやニューヨークなど世界中に拠点を分散させています。これは「日常を支えるAIが米国製と中国製に独占されるのは望ましくない」というルカン氏の信念の表れであり、多様な文化を反映したオープンソースのAIを世界中と協力して作るという強いメッセージでもあります。東京にオフィスを開設する可能性も示唆されており、日本の製造業や優れたエンジニアたちにとって、世界モデルを活用した新たな産業革命の波に乗る非常に大きなチャンスが巡ってきたと言えるでしょう。これからのAI競争は、単なる「言葉の賢さ」の競い合いから、「現実世界をどう動かすか」という新たなステージへ突入していきますね。