
今月の映画おすすめ3選――記憶と現在、極限のサバイバル、そして“炎上”の向こう側
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終戦から80年の節目を過ぎ、いま観るべき3本が揃いました。カズオ・イシグロの長編デビュー作を原作にしたミステリアスな人間ドラマ、実話ベースの深海サバイバル、そしてSNS時代の「無実の加害者」を描くサスペンス。内容の重さは異なりますが、どの作品も“いま”を考えさせてくれます。
🔶遠い山なみの光(9月5日公開)
👉 公式サイト:https://gaga.ne.jp/yamanami/
イシグロ文学の“余白”がスクリーンでささやく。
1980年代のイギリス。日本人女性(吉田羊)のもとを、疎遠だった娘が訪ねてきます。物語はそこから1950年代の長崎へと行き来し、若き日の彼女(広瀬すず)と、謎めいた女性(二階堂ふみ)との出会いが、静かな緊張を帯びてほどけていきます。原爆後の街の空気、家族や婚姻、義家族(三浦友和が印象的)との関係──“語られないこと”が語る、イシグロらしい余韻が核です。
見どころ
- 1980年代ロンドンと1950年代長崎を織り交ぜる構成が生む“捉えどころのなさ”。
- 広瀬すず×二階堂ふみ、対照と共鳴で進む女性同士の心理線。
- 「本当は何が起きたのか」を観客に委ねるミステリー性。
上妻さん評:「丁寧に観た人ほど“あ、そうか”が積み上がります。見終わって語り合いたくなるタイプの1本です」
🔶ラスト・ブレス(9月26日公開)
👉 公式サイト:https://lastbreath.jp/
深海の限界時間、酸素メーターは容赦なく減っていく。
スコットランド沖。海底パイプラインの修理任務中、支援船のトラブルで潜水士の1人が海底に取り残されます。残り酸素はわずか──船上と海中のチームが総力戦で挑む、実話ベースの“タイムリミット・サスペンス”。事故のドキュメンタリーを手がけた監督による劇映画化で、実際の船・技術・手順に基づく描写が緊迫感を跳ね上げます。
見どころ
- 飽和潜水の手順や機材運用をリアルに再現。
- 「最後の一呼吸」へ収斂する編集と音。
- 海の暗闇と狭小空間が作る極度の没入感。
上妻さん評:「予告だけで手汗。『助かるのか?』が全編を貫きます」
🔶俺ではない炎上(9月26日公開)
👉 公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/oredehanai-enjo/
“加害者にされた日”は、誰の明日にも起こりうる。
普通のサラリーマン(阿部寛)が、SNSで殺人犯と名指しされます。拡散、特定、断罪。正義を名乗る群衆の暴走に、生活も人間関係も崩れていく──ヒッチコック譲りの“巻き込まれ型”を、現代日本のネット空間に移植。夏川結衣、芦田愛菜の存在感も濃く、特に芦田の啖呵は物語の芯を震わせます。冤罪スリラーでありつつ、それだけでは終わらない“もう一歩深い”問いを投げてきます。
見どころ
- 阿部寛の“普通さ”が恐怖を増幅。
- 夏川結衣・芦田愛菜ほか脇の芝居が熱い。
- 「発信する側」の責任を観客に返す構造。
上妻さん評:「SNSの怖さが主題ですが、そこに留まらない。ネタバレ厳禁、劇場で確かめてください」
ゲスト:上妻祥浩/聞き手:江上浩子(RKK)