
ブレイディみかこ『女たちのポリティクス』と現在の政治状況 大阪万博の話も
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🔶 先週の続き――紹介できなかった一冊
宮脇利充さんが先週紹介しきれなかった本、『女たちのポリティクス』(ブレイディみかこ著、幻冬舎新書、2021年刊)。
刊行から4年が経っていますが、現代の政治状況と不思議なほど呼応する内容を含んでいます。
著者ブレイディみかこさんは福岡市生まれ、イギリス在住のライターであり保育士。『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で知られ、英国社会のリアルを等身大で描く筆致で注目を集めました。
*女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち (幻冬舎新書)/ブレイディ みかこ (著)
🔶 フェミニズムとナショナリズムの危うい結合
同書の中で注目すべき章の一つが「小池百合子とフェミニズム」です。ここでブレイディさんは、ヨーロッパにおける「フェモナショナリズム(フェミニズム+ナショナリズム)」を紹介します。
イスラム過激派による女性の権利抑圧に抗議するフェミニストの声が、極右ナショナリストに利用され、排外主義へと転化する構図です。ブレイディさんは、この枠組みを日本に置き換え、「ムスリム男性」を「おっさん政治」として捉えるべきだと提起します。
共通の敵を設定して攻撃することで人気を得るのは、典型的なポピュリストの手法。短期的には憂さ晴らしになっても、長期的には自らの首を絞める危険性を孕んでいると警鐘を鳴らします。
🔶 日本政治と「おっさん政治」批判
宮脇さんは、直近の参議院選挙を振り返り、既成政党への不満から新興勢力に投票が流れる傾向を指摘しました。
ただし、そこには理念や政策の根本的な相違を見極めず、「とにかく既存政治への対抗」として票が動く危うさが潜んでいると警戒します。
🔶 小池百合子都知事と関東大震災追悼文問題
「小池百合子とフェミニズム」の章ではもう一つ、関東大震災(1923年)後に起きた朝鮮人虐殺の追悼文問題に触れられています。
歴代東京都知事が追悼文を寄せてきた中で、小池都知事は2017年以降、一度も寄せていません。
9月1日、関東大震災から102年を迎える追悼集会で、小池知事が追悼文を再び寄せるのか、あるいは8年連続で見送るのか――政治家としての姿勢が問われています。
🔶 万博が映す「国の顔」
さらに宮脇さんは、大阪・関西万博を訪れた体験も語りました。各国パビリオンは「お国自慢」が中心で、文化や資源の豊かさを前面に出しています。しかし宮脇さんが求める「その国の課題や矛盾」といったネガティブな情報はほとんど見られませんでした。
日本館は「持続可能な社会」をテーマに、会場内の廃棄物を燃料に電力を生み出す仕組みを展示。
また、隣接するカルティエがサポートするウーマンズ パビリオンも注目されており、「フェミニストも非フェミニストも訪れる価値がある」と宮脇さんは強調しました。
話し手:宮脇利充(元RKKアナウンサー)/聞き手:江上浩子(RKK)