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ヤボ夫
2.0 out of 5 stars 序盤で見せた素晴らしい「つかみ」に膨らませた圧倒的期待が中盤以降の「凡庸化」で不完全燃焼に……
Reviewed in Japan on July 24, 2019
Verified Purchase
以前から繰り返し主張している事なのだけど小説、特に娯楽小説においては冒頭での「つかみ」は非常に重要な要素だと思う。小池一夫が唱えたとされる「冒頭では白昼の銀座を裸の女に駆け抜けさせろ」というフレーズに象徴されるが如く、時に強引さを感じさせるほどの強烈なインパクトを冒頭で与えないと読者に次のページを捲ろうという気を起こさせるのは難しい。

……が、ステータスというか創作に注ぎこむエネルギーをを「つかみ」だけに全振りしちゃうってのはどうなんだろう?今回ガガガ文庫から刊行された新人さんの作品はそんな事を感じさせてくれた一冊。

物語は香崎という田舎町に住む高校生・塔野カオルが転校生の少女・花城あんずと出会う所から始まる。東京からやってきたというだけで話題性抜群である上に整った容姿でいやが上にもクラスメイトの目を引くあんずだったが、話しかけた生徒に「本を読んでいるから話しかけないで」と言ってのける孤高ぶりを見せ付ける。そんな態度のあんずにクラスの女王的存在・川崎小春が突っかかるがあんずは挑発的な態度を示し小春を更に苛立たせる。

そんな雰囲気の悪いクラスを横目に見るカオルだったが、家に変えれば更に雰囲気は最悪。幼い頃に妹のカレンを事故で失うと同時に母親が失踪。母親の不義の子であるカオルは妻の失踪とともに酒に溺れる様になった父親と二人で息を潜める様にして生きていた。

その日も荒れた父親の相手をさせられたカオルは夜中に家を抜け出し線路の上を気晴らしに歩くが、トンネルの近くまで来たところで線路わきに設置された目立たない階段の存在に気付く。何気なしに階段を下りたカオルの目の前に現れたのは奇妙なトンネル。カオルは通学時に女子学生の話題に上がった「何でも願いを叶えてくれる」というウラシマトンネルの話を思い出し「そんなバカな」と思いながらも中へと足を踏み入れる。鳥居が並び松明が明々と中を照らすそのトンネルでカオルはある筈の無いカレンのサンダルを見付け、カレンが「カエルのうた」を覚えさせたインコのキイに遭遇。

唖然とするカオルだったが、女子学生の「ウラシマトンネルは何でも願いを叶えてくれるかわりに歳を取ってしまう」という話の続きを思い出し慌てて引き返すが僅かな時間の滞在と思っていたカオルは外の時間が一週間も進んでいる事実を突き付けられる……

……うん、こうやって冒頭を書き起こすとヒロインの造形、主人公の置かれた家庭環境、そして何より体感時間と実際に過ぎ去った外部の時間が食い違う「ウラシマ効果」を発生させるトンネルという舞台装置に至るまで「この小説は面白いに違いない!」と確信させるだけの材料は揃っている。

特に冒頭のウラシマトンネルの登場に続いて描かれるメインヒロイン・花城あんずのキャラクターが鮮烈。絡んできたクラスの女王・川崎を苛立たせる挑発的態度を取ったと思ったら一線を越えた瞬間に同性とはいえ女の子の顔をグーで殴るわ、校舎裏に呼びつけた「怖い先輩」にボコられても一瞬の隙を突いて逆転、ボールペンをこめかみに突き立てるわと大暴走。「さすがガガガが選んだ新人だ、ヒロインが尖りまくっている!」とますます引き込まれた。

その後ウラシマトンネルの存在を知ったあんずがカオルとトンネルの秘密を明かそうとしたり、あんずによって女王の座から引きずり降ろされた川崎にある変化が生じる第三章までは一気である。舞台装置は魅力的、ヒロインのキャラの濃さも突き抜けているという事で「これは超好みの作品を引き当ててしまったのではないか」と、この時点で期待値はマックスまで高まった。

……が、この膨らみまくった期待値が四章以降シュワシュワと萎むとはまるっきり想像できなかった。この本文の丁度半分となる三章終了時点がこの作品のピークだったと言えるかもしれない。

まず尖りまくっていた孤高のヒロイン・あんず、四章以降は凡庸な恋する乙女になります。「デレた」と表現しても良いけど、とにかく序盤で見せ付けていた世の中全てを敵に回しても我が道を往く様な突っ張った雰囲気はどこへやら。大した理由や切っ掛けも無しにカオルとの距離が縮まっていき、最後は単なる「カオルくん好き好き」状態の典型的ラブコメ脳に冒されてしまうというか。「最初のあの強烈さはなんだったん?」と首を傾げる事しきり。最低限この変化を読者に納得させるだけの「カオルに惹かれる理由」が示されれば良かったのだけど、単に二人きりで行動していたら勝手に惚れてしまいました程度の描かれ方しかなされてないので読者は置いてきぼりなのである。

で、サブヒロインの川崎も中盤近くでクラスの女王的ポジションから引きずり降ろされ自宅を訪ねたカオルやあんずの前で意外な顔を見せたのは良いのだけど……四章以降はストーリーの流れにも絡まずフェイドアウトしてしまうので前半で見せたあんずとの関係も大して活かされず仕舞いとなり「あれれ、このキャラの役目って一体何だったん?」とこれまた頭を抱える羽目に。

前半で期待していたキャラが後半に入ると凡庸化したりフェイドアウト気味になるので頼みの綱は舞台装置であるウラシマトンネルという事になるのだけど……普通SFでウラシマ効果が出てくれば「体感時間の差で大切な人たちと切り離されてしまう」という悲劇が描かれ、そこをどう乗り切るかがキモとなるわけで、個人的にもそこに期待した。

期待通り主人公のカオルは全てを投げ捨ててウラシマトンネルに突入、妹のカレンを取り戻すべく突っ走りカオルがウラシマトンネルで過ごす間に外界では【〇年と×××日が経過】と絶望的な時間が過ぎ去ってしまった事が示される。この演出のお陰で後半萎み気味になった期待値がここで再びググッと持ち直した。「これだよ、こういう過ぎ去ってしまった時間と外の世界に置いてきた大切な人たちとの間に開いていく距離こそがウラシマ効果の魅力なんだよ」と実に興奮した。

……が、その絶望感と引き換えにカオルが得た教訓があまりに凡庸。今さら「現実に立ち返れ」「身近な人間関係を大切にしろ」という20年以上前の劇場版エヴァンゲリオンみたいなテーマを突き付けてどうしろというのかと。そしてSF的な部分で期待した「ウラシマ効果をどう乗り越えるのか」という部分でのヒネリの無さが……過ぎ去ってしまった時間はどうともならず、昔と比べて歳を取った大切な人たちと復縁し幸せに暮らしましたって……それ主人公は失踪生活を送っていたのと何が違うの???

「つかみ」は大切なんだよ。けど「つかみ」で膨らませた読者の期待を裏切らないだけの展開を見せてくれる事はもっと大切なんだよ……序盤で期待させてからの尻すぼみでは読者が膨らませた期待は不完全燃焼を起こしてしまうし、「あれだけ期待させておいて、最後はこれなの?」と失望感が残ってしまう。第三章まで見せてくれた「キラッキラの新人が最高の舞台とキャラを整えてくれた」という展開が第四章以降で使いこなし切れずに凡庸化していく展開を読んだ時の「あああ……勿体ない」という気持ちは何ともし難い。

前半までを読んだ時は「うむ、間違いない五つ星だ!」と思ったんだけどねえ……後半まで息が続かなかったのか「逃げ切るスタミナの無い逃げ馬のレース」を見たような気分になる一冊であった。
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サンライト
3.0 out of 5 stars 凡作
Reviewed in Japan on July 20, 2019
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試し読み部分はなかなか面白かったのですが、そこがピークでした。
序盤ではある種超然とした様が魅力的だったヒロインはどんどんつまらない「普通の女の子」になるし、ウラシマトンネル自体も如何なる存在なのかについてふわっとしたまま、「現実と向き合え」というお説教のために消費されるし、ロマンのある発想や斬新なテーマもありません。

作者やレーベルが「最近のラノベの流行と真っ向から対立するテーマ」などと宣っていましたが、こんな陳腐なテーマと真っ向から対立するならむしろ最近のラノベの流行は好ましいものだなと思います。
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ニア
5.0 out of 5 stars ライトノベルとしての評価じゃないです。でも好み
Reviewed in Japan on July 23, 2019
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ライトノベルが少なく、児童文学で育った私にはツボな作品でした。そして児童文学で「トムは真夜中の庭で」が好きな私は、時間をこえての話は好み。ティーンエイジの心の揺れという点では「目覚めれば魔女」あたりも連想しました。と私は好みでしたが、推薦児童図書あたりにありそうな話で、ライトノベルとしてはどうかなー?とは思いました。よくてメディアワークス文庫じゃないかと。
ふつうの少年少女ですし、大きい事件があるというわけでもない。キャラクター性娯楽性ないから、この後続きを書くというのも難しそう。「トンネル」をメインにして別の人物たちの悩みや心について描くということはできるでしょうが、それは普通に定型化されているラノベのパターンを書くより難しいでしょうし、商業的成功は難しそう。作者さんにはつらいルートだと思います。
ある意味作者さんの想いを全てぶつけたような作品でしょうから、すごく美味しかったし、できれば頑張って欲しいし、新作読んでみたいなとは思うのですが。

不思議なトンネルとボーイミーツガールの話。「望んだものが手にはいるけど、年を奪われる」という「ウラシマトンネル」の都市伝説。妹をなくし、家族が崩壊した主人公が愛していた妹を取り戻したいと願い、その不思議な霊異にふみこんでいくという物語です。
時間が関わるということでSFという評価点されていますが、私からするとこれはメルヘンかなぁ。
人のつまらない理屈とか科学の外にある魔法とか不思議なもの、それに巻き込まれる物語。「不思議」がなんであるかとか別に説明されなくてもいいんじゃないてのが私に感覚だか、そこは不満ないかなぁ。まあ私は物語は「理屈」じゃなく「感覚」が大事て信条だから。
でももし物語の続編を考えるなら、そのあたりの謎が関わる人間たちに解明されていくてのはいいかもしれない。
ナルニア国物語で、冒険した子供たちが「最後の戦い」で揃ったように。
今回は「人間側」だけでしたが、トンネルの先で人以外と化したような存在が主人公な話とかもいいかもしれないですね。
文庫という枠におさめるためか話が少し駆け足で、もう少し分量欲しかった不満はあります。川崎さんや加賀ともっと絡んでたほうが面白くなった予感も。

ちょっとネタバレになるかもしれませんが、主人公の推測で考えていたトンネルの特性ですが、
本当の実在ではなく、幻覚とか夢とかだとすると、「手にはいった」つもりで現実には存在しない状況の精神的におかしくなった人間としてまわりにみられるんじゃ・・・という恐怖も。
このへん「吸血姫・美夕」の「永遠の夢を見せてあげる」系なんじゃないかと。だとするとトンネルはかなり悪質なホラーめいたものとしても人に作用するんじゃないかな?
と、自分が思ったことを作者さんに色々書いた続き出して欲しいですね。
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BlackBugs
4.0 out of 5 stars ライトノベルレーベル発の文芸的作品
Reviewed in Japan on August 15, 2019
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思春期の頃にラノベが好きだったのを思い出し、最近色々な作品を読んでいます。
本作はガガガ文庫でガガガ賞(他レーベルで言う最優秀賞)と特別賞をW受賞した話題作です。
ライトノベルと言う割には、キャラクターの可愛さが圧倒的に弱いです。挿絵も殆どなく、口絵は物憂げなキャラたちの集合絵だけ。ですが、それを補っても余りあるほど秀逸なストーリーでした。

「時間を代価に欲しい物が手に入るウラシマトンネル」という小さな町の都市伝説に焦点が当てられており、主人公とヒロインは各々、異なる理由でこのトンネルに興味を持つのですが、各個人のバックボーン秘めた欲求、ウラシマトンネルで得たい報酬が密接に絡んでおり、読者を惹き込んでいきます。序盤こそ冗長な青春小説のようでありながら、後半の展開は見事の一言。時間を忘れて読み耽ってしまいました。W受賞も納得の出来です。

強いて一つ欠点を挙げるのであれば、「ラノベ的な強み」を捨てていること。
先に述べたように、本作はラノベファンや一般読者が思い描くラノベとかけ離れています。
一般文芸の書棚に並んでいてもおかしくないような内容です。
しかし同時に、これが「ラノベレーベルで出版された」事は大きな意義があるでしょう。かつてラノベ黎明期に人気を博した「ブギーポップ」や「イリヤの空」のように、ラノベにもちゃんとした青春小説があることは、読者層が広がる事に繋がるはずです。このレーベルで出る、著者の次回作に期待します。
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まぐまぐ
5.0 out of 5 stars 愛のある高潔な青春SF小説
Reviewed in Japan on July 19, 2019
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選評で浅井ラボが「投稿先と選評者を間違えている」と発言していたことが、購入の大きなきっかけとなった。
結論を書く。その言葉は嘘ではない。これは、新時代のライトノベルだ。
田舎町のひと夏を描いた作品だ。ボーイ・ミーツ・ガールの鉄板であり、もはや「出尽くした」ネタと言える。
しかし、作品の質は違う。新しい輝きに満ちている。全てのページに、高潔さが見て取れる。
美しい文章で描かれる登場人物の心理描写は豊かで、ページを紐解くごとに夏の風や草木の香りが立ちこめるような錯覚に私は囚われていた。
主要人物は皆、「何か」を喪失する。ちょっとした(だが、重要な)地位や、膨大な時間や、信頼関係だ。
喪失の過程で悪意に傷つけられたり、戸惑ったり、迷ったりする。こう書くと陳腐だと思われるしれない。
だが、思春期の時は、皆大抵そんなものだったのではないだろうか? 大人になるごとに年月が流れるのは早く感じるが、教室の1日は長く、濃い。
主人公は早世した妹を取り戻すために、異常な速度で時間が進行する「ウラシマトンネル」を駆けていく。
登場人物たちが喪失の果てに「何」を得たのかを、今を生きる少年少女達と、嘗て夏休みを過ごした全世代の大人に目撃をして欲しいと祈る。
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